亡き兄姉の思い出!その1

兄は商業を抜群の成績で出た優れた才能の持ち主でした。私はその頃十七歳位で高女の三年生だった思います。姉と私は父母の家からちょっと離れた別宅に住居を構え姉は毎日刺繍、裁縫に余念がなかった様です。食事は母屋で召使は何人もいましたので姉と交代に食べに行っていました。姉は気丈でしたが、とても優しく私を良く可愛がってくれました。また姉の趣味は和歌、小説従って読書は素晴らしく、毎晩十二時まで手から本を話した事がありませんでした。夏の頃は蚊帳の中で小さい字を読み取るので若い時から目が悪く、両親の心配の種でした。ある日、学校から帰ると、庭に美しい水仙の花が「S・T」と綺麗に植えてあるのを見て、びっくりしました。その頃は、私にはピンと来なかったのですが、後でしみじみ思い当たるのは「S」は佐々木の頭文字「T」は忠一の頭文字だったのでしょう。姉は密かに兄を慕っている事がわかったのです。又姉はとても調子が良く、四つ違いの私を良く使い回して喜んでいました。ある冬の頃のことでした。カキを二つ買って来てと言いますので、「古いカキはお腹に良くないよ」と申しますと、「いいから買ってきなさい」ときかないので、私は飛んでいって買ってきました。するとそのカキを食べた時から発熱していわゆる「腸チブス」とやらにかかり就床したわけです。熱が八度ほど上がりなかなか下がらない、毎日毎日水で冷やしてお混じりを運び二週間起き上がれなかったのです。私は必死で介抱しました。          続く・・・・

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